{マッケンジー・デルタ・スタイル・スキンカヤック}

 カナダ極北地方にも、多種多様に渡るトラディショナル・スキン・カヤックが存在していた。私の手許にある資料にも約20種の記録がある。同一の地域でも時代・作り手・使用する状況に応じてデザインは変わる。
 デザインは無数に在ると言っても差し支えないほどだ。つまりこれが一番だと呼べるデザインは無く、一定の必要条件を満たしたデザインであれば、その詳細は環境・乗り手・用途に応じて臨機応変に変化して行くのである。
 明確ではないがここに展示されているカヤックはマッケンジー・デルタ・スタイル・スキンカヤックだと思われる。マッケンジー河・河口からボウフォート海沿岸にかけて暮らす、マッケンジー・イヌイットの人々が鯨、イルカ、アザラシ、魚やカリブーを狩猟するために使用していたカヤックだ。
 特徴的なバウ、スターンのそり上がりがあるが、一般的には水きりのため、あるいは決まった方向の風に対し一定の方向にバウを向けるためだとも言われている。また、アルゴンキン・インディアンとの接触により、バーチバーク・カヌーのデザインからの流用だとも言われている。

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