{コディアク・スタイル・ワンホール・スキンカヤック}

 ジョージ・ダイソン氏の著書「バイダルカ」により、広く紹介されたカヤックである。一般的にはアリューシャン列島からコディアク島一帯で使用された、船首が二股に別れたカヤックを「バイダルカ」と呼ぶようにイメージ付けられている。バイダルカにも地域・時代により様々なデザインが存在する。
 ここに展示されているカヤックはコディアク・スタイル・ワンホール・スキンカヤックと呼ばれ、コディアク島近辺で暮らす、パシフィック・エスキモーの人々が使用したカヤックのレプリカである。
 ご覧頂きたい、この特徴的なバウ・セクションと精巧に組み上げられたフレームを。
 これが高い性能を引き出す特徴の一つなのだ。
 まずバウ・セクション。複数の部材から組み上げられているが、アンダーバウで水を切り裂き、アッパーバウで浮力をキープする。追い波でのバウの潜行をふせいでくれる。この構造については再三にわたりバイダルカが引き合いに出されているが、グリーンランド・スタイルをはじめ、多くのトラディショナル・スキンカヤックに形状は異なれど機能は取り入れられている。
 フレームの精巧さをご覧頂きたい。固定されているが動く構造。硬さと軟らかさが絶妙にバランスされている。残念ながらこのカヤックは、キールラインとストリンガーラインが分割組み上げされていないが、荒れた海上でスピードを求めるタイプのカヤックは、この部分が2分割、あるいは3分割に組み上げられている。
 また、フレームとフレームが触れる部分に、骨で作ったベアリングのような材を噛み合わせる工法もある。
 いずれにしても、一台は手許に置きたいカヤックである。

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