もう6年ほどになりますか、洲澤さんに教わって作ったパドルでずっと漕いでいますが、実は、この2年ほどは表面の塗装をまったくしないで使っています。
素材は米ヒバで、それまではオスモカラーのノーマルクリアーを使ってきましたが、基本的にそれほど強い塗料ではないのでどれだけ保たせても1ヶ月ぐらいで再塗装していました。
製作者によって柿渋や漆などを使っている場合もあるようですが、そういった塗料は本来の機能を生かすためには正確な工程が必要で、素人では扱いが難しい側面があると私は考えていました。
それで、2年ほど前から、古いビデオにある使いっぱなしのパドルや和船の無塗装の櫂を見ていて、これでやってみようと決心しました。
結果ですが、当然毛羽が立ちやすくなりました。しかし、材の性格もありますが、むしらず放っておけばささくれが小さくなりとくに広がることはありません。
どうしても気になるときはガラスの欠片かカッターの刃を立てて目に沿って薄く削って毛羽を落とします。
また、使った後はスキンカヤックと同じで、絶対真水で洗浄しないでそのまま拭き取るだけで乾燥させる必要があります。真水で洗うとものの見事に白っぽくかさかさした状態になり、劣化が早まります。
それで、こうした方法の大きく優れている点がひとつわかりました。
とにかく握り味がいいのです。とくにニスのようなしっかりした塗面と比べると、木肌の優しさと言うんでしょうか、手のひらに実に自然に馴染みます。海上で顔の脂や漁船の油が手のひらについてもそれほど滑ることもありません。
カナディアンのシングルブレードパドルの支え手側の握りは、モノによっては握りやすさを優先して無塗装の場合もあるとのこと。耐久性で問題がないのであれば、トラディショナルパドルを無塗装で使うというのもひとつのあり方なのかな?と考えています。
とにかく私はこれからもこのまま使っていくつもりです。
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