{乗り降りの仕方}

 乗り込む場所は重要です。
 不安定感の強いカヤックの場合、乗り込みやすさからするとどうしても砂浜からを考えがちです。しかし、できるだけ砂浜は避けた方がいいでしょう。砂がフレームとスキンの隙間に入り込み、双方を傷めてしまいます。どうしても砂浜から出るときはできるだけカヤック内に砂を持ち込まないようにします。
 最も適しているのが護岸されているスロープからですが、これは港によって使用条件がありますので、一般的とは言い難いでしょう。
 とすると、やはり岩場など海面から少し露出しているところからカヤックを浮かべ、パドルで安定を与えながら乗り込むことになります。これはグリーンランドなどでは一般的な乗り込み方のようです。
 ここでは岩場などから出艇する方法を解説します。
 1)乗り込んでも底を擦らない程度の水深のある場所にカヤックを浮かべます。2)パドルをコクピットのすぐ後ろに、岸とは反対側に長く出るように置きます。3)中腰になりながら片手を使ってパドルのブレードでデッキの面をしっかり押さえるようにしてカヤックの挙動を安定させ、同じ側の片足をコクピット内に下ろします。4)デッキ上のパドルの上に腰掛けます。5)すでに入っている足を伸ばし、 パドルの浮力でカヤックを安定させながら、もう一方の足もコクピット内に入れます。6)両足を伸ばし、お尻をコクピット内に滑り込ませます。もしかかとがリブフレームに引っかかるようであれば片手を使ってコクピッ
ト前部をつかみ足をこじ入れます。7)パドルをコクピットの前に移し、ストラップに引っかけて今度はそこでカヤックの安定を保ち、その状態でスプレーカバーを掛けるなど漕ぎ出す準備を行います。
 海水温がそれほど冷たくない場合は、3)カヤックのコクピットあたりに跨り、4)デッキ上のパドルの上に腰掛け、5)パドルで安定を保ちながら両足をコクピットに入れ、6)以下は同じという乗り込み方もできます。
 降り方は乗り込むのとまったく逆になります。
 1)底を擦らない程度の水深のある場所にカヤックを入れます。2)パドルをコクピット前部のストラップに引っかけて安定を保ち、その状態でスプレーカバーをはずします。3)パドルをコクピットの後ろに、岸とは反対側に長く出るように置きます。4)両手でパドルのブレードをデッキ面に押さえつけるようにしてカヤックの挙動を安定させ、両足を伸ばしながら下半身をフネから引き抜きブレードの上に腰掛けます。5)パドルの浮力でカヤックを安定させながら、片足を岸に置きます。6)バランスを取りながら両足で立ち上がり、中腰になります。7)岸側に重心を移し完全にフネから降ります。
 ここでも海水温がさほど冷たくない場合は、5)の段階で両足を開いてフネをまたいで立ち上がるということもできます。
 スケグをつけている場合、砂浜から出たりするときにバウから出艇しようとすると、スケグが引っかかって曲がり、海上で必要以上に片側を漕ぐことを強いられる可能性があります。このようなときはスターンを浮かべた状態で乗り込むことをお薦めします。波のあるときなどは少し慣れが必要ですが、スケグを傷めないという点で有効です。
 また、砂浜から出るときはカヤックのボトムを引きずらないように気をつけましょう。なにせ布張りなので、繰り返しの摩擦には弱いと思って間違いないでしょう。

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