{バランスの取り方}

 さて、海上に出ました。
 なにより、バランスを取ることが第一歩となります。
 とくにボリュームの極端に低いカヤックの場合、リブフレームとの関係で両足を伸ばした状態を強いられることが多く、同じぐらいのボリュームであっても工業製品カヤックとはポジションが大きく異なります。がに股で膝を使ってカヤックとのコンタクトを取ることが難しいので、独特のバランス感覚を身につける必要があります。
 それは、お尻バランスです。つま先と腰でカヤックと一体感を作り、バランスはお尻で取るのです。とくに股関節の外側あたりでカヤックのフレームとのコンタクトを強く意識します。とりあえず陸上で平らなところに両足を投げ出して座ってみてください。そのまま上半身を左右どちらかに少しずつ傾けてみると、股関節の外側あたりと床がコンタクトしませんか?この部分の感覚をカヤックの上でも持つようにします。これが基本になります。
 二つ目、フネの傾け方、リーンです。リーンはアウト(図の1)・ウィズ(図の2)・イン(図の3)とありますが、ウィズが基本です。なにしろ左右の踏ん張りの幅が非常に狭いフネですから、極端な上半身の動きは禁物です。リーンアウトでは身体は起きますがフネは傾き復元しにくくなります。一見リーンインはフネが先に復元するのでいいように思われますが、フネの復元力があまり
強くないと海上に残った上半身でかえってバランスを崩します。そういうわけで基本はウィズなのです。もちろん様々な状況に応じて使い分けは必要になります。
 三つ目。漕ぐことでバランスを取ります。ブレードを前に傾ける漕法もありますが、バランスの取り方にコツが必要で、海の状況によってはとっさのリカバリーが難しかったりしますので、はじめはなるべく自然なブレード角のバドリングを行った方が無難でしょう。
 左右のパドリングのひとつひとつでしっかりと水をつかむ意識を磨きましょう。漕ぐ側にほんの少し身体を傾け、小回りのしっかりしたスウィープストロークでパドルに体重をかけながら漕いでみるのもいい練習になります。

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