{フォワードストローク}

 上半身は真っすぐである方が腰や筋肉には負担が少ないと言われています。腕は軽く曲げ、あまり極端には上半身は回しません。必要十分なストロークでゆっくり漕ぎます。
 ブレード上端を前に傾ける所謂前傾パドリングは、自然なブレード角を取るパドリングと比較して同じストローク量でより効率的な推進力を得る点で優れた漕法です。水をとらえてから体側までのストロークにおいてはフネを沈ませようとする力の分が推進力に変わり、体側から後ろまでの
ストロークにおいてはオリエンタルスカリングと同じ円弧の外側へ押す力が推進力に加わります。
 ただ、沈み込もうとするブレードを押さえなければなりませんので、独特のバランスの取り方が必要になります。これは押し手を下方向に押し込むのと同時に押し手側に上半身の重みを預けることで行います。手だけで押すのでなく、肩も一緒に押し込むようにするとわかりやすいかも知れません。また、自然なパドリングの場合は、不安定になったときリカバリーとして傾いた側にスウィープストロークやブレースストロークを入れますが、前傾パドリングの場合は逆になります。
 もっとも、この漕法がナローパドルを使用していた全てのエスキモー・イヌイットやアリュートたちに存在していたかどうかは定かではありません。

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