{リカバリーとセルフレスキュー}

 ローブレイスと小回りのしっかりしたスウィープストロークが一番汎用性が高いでしょう。
 漕いでいるブレードが体側の後ろに回った状態でそちら側に傾いたときはローブレイスで海面を押さえます。これからブレードを入水させようとしたときに傾いたときは小回りのしっかりしたスウィープストロークで体勢を立て直します。フォワードストロークの項でも述べましが、漕ぐ行為はバランスを保つ効果もありますので、海の状況によっては、あえてスウィープストローク気味にしっかり水をとらえながら漕ぐ場合もあります。
 ロールに関してはよく言われるようにグリーンランドでは30種類以上のパターンがあります。それぞれ様々な状況設定があって興味深いものですが、確実に復帰できるロールを最低ひとつは覚えておく必要があるでしょう。
 万が一沈脱をすると、よほど大きな浮力体かしっかりしたシーソックを入れていない限り水船になり再乗艇はかなり難しくなります。コクピットをぎりぎりの大きさでしか作っていない場合はなおさらです。リエントリーロールでも、よほどうまく船内の空気を確保していないと水船になることは避けられません。 
 やはり、確実なロールが最も有効な手段だと言うことができます。
 グリーンランドでは、乗り手に自ら沈をさせて、海中で息が続かなくなったという合図で補助者が助け起こすという練習から始めます。極端な性能を持つカヤックの場合沈する可能性は高いので、海上で補助者が駆けつけてきてバウを差し出すなどレスキューを開始するまでパニックにならずに持たせる必要があります。また、ロールを練習するにも水中で落ち着いている必要がありますから、そういう意味では理にかなった練習方法です。また、ロールの前段階として、パドルを片方に長く持ちスカリングで半沈状態を保つスカルレストという技術を覚えます。

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