{グループレスキュー}

 リカバリーで触れたように、パドラーが脱艇するとカヤックは間違いなく水船になります。どんなにボリュームが低いカヤックでもパドラーの体重を最低限支えているわけですから、侵入する海水は数十キロは下らないのです。つまり、いっぺんにカヤックを海中から引き上げるのは至難の業だと言うことができます。また、てこの原理を利用して無理矢理他のカヤック上などに乗せようとすると、場合によってはフレームが壊れることもあります。ですから、沈脱後のグループレスキューはかなり難しいと考えた方がいいでしょう。
 以上の理由から、ロールが確実でない場合は単独行動にならないようにすることが必要です。沈をした場合はバウを差し出してもらうか、並んだ状態でパドルを掛け渡してもらいそれを使って復帰するといったレスキューが最も有効なグループレスキュー法です。
 それでも万が一脱艇してしまったときは、岸ま
で曳航してもらって再乗艇するのが一番確実な方法です。それが無理な場合はまずパドラーを別のフネのバウかスターンに掴まらせます。フネはあわてて戻さない方が海水の侵入を最小限にとどめることができます。沈をしたフネのバウかスターンを慎重に持ち上げ、ゆっくりと少しずつ排水を行います。できるだけ複数で手を貸し合いながら作業を行うことが望まれます。
 それにしても、かなり大変な作業を強いられますので、海の状況次第ではレスキューそのものが困難な場合もあり得るということです。繰り返しになりますが、沈脱はできるだけ避けましょう。

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