{ロール}

 その他のパドリング技術ではやはりロールで
しょうか。
 ロールはスキンカヤックにとってはとくに重要な技術です。
 グリーンランドでは沈脱しにくいカヤックで冷たい海に出て行くわけですから、万が一の時はより素早いロールが生存率を高めるのでしょう。
 一番確実なのはパドルを長く持ち替えるロングロールですが、細いパドルは水中の操作性がいいのでセットまで手間も時間もかかりませんし、上下左右ほとんど対称形なので起き上がってからパドルの向きを気にする必要もないのです。
 ロールの練習ではかなり早い段階で沈を経験させるそうです。岸に近いところで、カヤックを抱え込むような形で自ら沈をし、息が続かなくなったら船底をたたいて合図をして岸辺のサポートに上げてもらうという練習を繰り返し行ないます。さらに、ロールの練習の前にスカリングレストという技術を練習します。
パドルで水面をなぞるようにして横たわった状態を保つのですが、これでカヤックと上半身とパドルの力のバランスがわかるようになります(図-11参照)。
 一切パドルの動きなしに上半身の浮力と腰の返しでバランスする技術もありますが、これは相当な身体の柔軟性が必要なようです。実際、柔軟性は重要な要素で、キャンプのビデオなどでは何種類かのそのための練習を行なっている場面があります。
 ロールは30種類以上もあると言われています。最も標準的なものは反り起きロールといわれるもので、パドルが水面を動いている時間が長く水からの支えを得やすいのと身体の動きに合わせてカヤックも返ってくるので、まずこれを習得します。他にリバースロール・板切れのような投槍器を使ったロール・手だけを使うハンドロールなどそれぞれにも各種あってチャンピオンシップの競技の目玉にもなっています。

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