{トラディショナル・スキンカヤックを作り、乗ることについて}

 昨今、製作の方法・図面が書籍やホームページで多く紹介されている。関心や興味を持つカヤッカーが増える事は喜ばしいことだ。
 製作するに当たり大切なこと、重要なことは何なのか?
 それは、可能な限りかってのイヌイット達が行った方法で作ること、つまり木は切らず、割り出すこと、木目を切らずに材を使うことだ。
 形をうつし、美しく仕上げることに気を取られ、重要なことを忘れてはならない。形は同じでも、内容が違う。
 木目の切れたガンネル材で作ったカヤックで、厳しい状況をパドリングしてみれば判る。きっとカヤックは壊れてしまうだろう。
 形をうつすこともさる事ながら、本当に大切なのは伝統的な作り方をうつすことだ。
 そして作ったカヤックに乗ることだ。
 トラディショナル・スキンカヤックは飾りでも、眺めるものでもない。乗るものなのだ。文献やホームページを眺め、他人の考えた事を自分の考えとすり換え、史実を論ずるより、乗ることなのだ。カヤックの事を、文献やホームページにたずねるより、カヤックの事はカヤックにたずねるべきだ。
 魂の宿ったカヤックなら、きっとあなたの魂の呼び掛けに答えてくれる。

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