{おわりに}

 私が、洲澤さんに「乗り続けること」を条件にカヤックとパドル作りを教わり、グリーンランド型のスキンカヤックに乗り始めてやっと4年が過ぎました。乗り始めのころと比べれば多少は慣れて来ましたが、それでも怖かったりフネが言うことを聞いてくれなかったりまだまだ乗りこなしているとは言い難い状況です。このことは、やはりずっと乗り続けている洲澤さんや平田さんも言われていることなので、私がひとり臆病だというわけではないようだと自らを慰めながら乗っています。
 また、平田さん製作のアリュート型や今年8月に完成させたフーパーベイ型スキンカヤックに乗ってみると、グリーンランド型スキンカヤックとはまったく違う発想で作られていることを強く感じさせられました。
 更に言ってしまえば、スキンカヤックはこの二つの形に集約されるわけではなく実に多種多様です。そして、残念ながら現在も生活の道具として使われているのはごくわずかな地域に過ぎません。多くはこの1世紀ほどの間に保存継承もされずに恐ろしい勢いで失われて行きました。様々な形を持つスキンカヤックの、ひとつひとつを通して見えるはずの、それぞれの地域の独自の発想がどんなものであるのか、あくまで資料とそれに基づく推測の域を出ることはないのです。
 その意味ではこの駄文も非常に個人的なものです。
 ただ、これからスキンカヤックを乗り続けていこうという人のために、ほんの少しでも何か参考になればと思って書きました。
 励まし合うことができたことはもちろん、持っている知恵や考察を惜しみなく与えてくれた洲澤さんと平田さん、そしてサーフスキー乗りの立場からスキンカヤックの乗り方にヒントを与えてくれた松本さんにこの場を借りて感謝の意を表したいと思います。

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