{はじめに}

 まずは気持ちの問題です。
 何より重要なのは覚悟を決めることです。
 せっかく作った(買った)のに飾っておくのはもったいないなぁと思うことです。
 そもそも、あくまで生活の道具なのです。使わなければ意味がありません。
 ただし、スキンカヤックの故郷では幼少のころから様々な身体的な訓練を行い、更に本格的に猟
に出るまでには身内の熟練者に付いて時間をかけてカヤックになじんで行ったと言われています。厳しい自然環境の中で生き抜き生活の糧を得るためにカヤックという道具を自在に扱うにはそれ相応の手間と時間が必要だったのです。極北ではそれができなければ場合によっては飢餓を、ひいては死を意味することさえありましたから、カヤックに対する思いはわたしたちの比ではなかったでしょう。つまり、私たちがすぐに乗りこなすことができるようなものではないのです。環境が全く違うのです。
 とくに極端な性能を持つタイプのカヤックの場合、たとえ慣れてきても、乗るときの体調や精神状態がかなり直接的にパドリングに反映されます。普段は問題のない同じ海況なのに怖かったり長く漕いでいられなかったりします。
 とにかく長い目で見るしかありません。スキンカヤックとはじっくりつきあうしかないのです。
 

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